オフィシャルブログ

月別アーカイブ: 2025年6月

あの時を堺に   副嶋 宏

前から親父は肺がんで、体調が悪い事は知っていたが、4年前義妹から、親父の体調が悪いとの知らせが入り、義母からは「病院を退院して戻って来るけんが話せるのは今のうちかもしれんけん、長崎に帰ってこれんね?」とも言われ、迷いに迷ったが12月頭に長崎へ1週間帰省する事を決め、帰省した際、余程体調が悪いのだろうから親父は迎えに来ていないのだろうと思っていた矢先、義妹、義母に連れて行かれた先の車の中に親父が乗って居た。その瞬間、緊張感が走った。スポーツ新聞を読み、煙草をふかしながら待っている車に乗り込み、親父達が住んでいる佐世保へ向かった。

自分自身は長崎市で祖母祖父の所に幼少期に親父に預けられ、祖母祖父に育てられた。一時期、親父達も長崎市内に住んでいたが、

親父以外とは接点を持つことなく大人になり、20数年ぶりに義母、義妹、義弟と再会を果たした。

1週間の帰省した間、生まれて初めて親父と食事をしたり、生まれて初めて誕生日を祝って貰ったり、生まれて初めて毎日車でどこかしらに出掛けたり【義妹の運転】今まで1分も話した事が無かったのに毎日何かしら話もしたり。

ある日、親父二人で煙草を吸いながら話していたら突然「お父さんが、こがん大きな病気になったとは、お前ば、ほったらかしにしとった罰ば受けたと」と薄っすら涙ぐみながら言い出した。今更思ったのかと思ったが、「こうやって家族で集まる機会が出来たといえば出来たんだから」と答えた。

正月にも帰って来いと親父に言われたので正月にも1週間帰り、生まれて初めて親父と正月を過ごし、その二週間後、親父は亡くなった。

今まで、年1くらいの感覚で親父が夢に出て来る事があり、その夢は恐怖しかない悪夢だったが、死後、見た夢に声だけの出演だったが自分に対して助言するという今までに無い展開が繰り広げられ、夢から覚めた瞬間、悪夢じゃ無かった事に驚き、自身の中の親父に対する意識と親父が自分に対する罪悪感が浄化された瞬間だったのかもしれない。

横断歩道   上原さつき

運転していて、何故か対向車線の車が停止している。よく見ると横断歩道に差し掛かっていた。横断者がいるからかと思いこちらも止まる。横断者が手を挙げることなく、しおらしく止まってくれるのを待っている。

手を挙げて渡る人は、ほとんど見ない。法改正があったのかなと思っていたら、テレビの交通安全では、手を挙げて渡ろうと言っている。若いお母さんによれば、手を上げないで

ささっと渡れと思うと少々乱暴な考えを聞く。渡りながら頭を下げて渡る人がいればこちらの気持ちも救われるのだが、これもいらないこと、さっさと渡るほうが良いと辛口な意見が聞こえる。障害者と渡る時は、支援者は、必ず手を挙げて、お礼の頭を下げている。

止まってくれてありがとうの気持ちを込めて、その場は助け合った雰囲気があり、救われている。

漫画雑談  B・I

最近、テレビで(トキワ荘の青春)という映画を鑑賞しました。

漫画の神様、(手塚治虫)が暮らしていた(トキワ荘)に集う若き漫画家らは、雑誌(漫画少年)の投稿仲間でした。その中でも、リーダーであり兄貴的存在だった(寺田ヒロオ)を主人公に、貧しい生活、出版社員とのやり取りを交え貧しい生活を送りながら励まし、立ち上げた(新漫画党)。

20代前半の青年たちが漫画について熱い思いを語り、創作し、日々過ごしながらの中(漫画少年)が倒産する。

その時、中心的存在の寺田は・・・何を思う・・・

赤塚不二夫・藤子不二雄(A/F)・石森(石ノ森)章太郎・森安なおや・つのだじろう・鈴木伸一・水野英子等々、沢山の漫画家がトキワ荘より巣立っています。コミックでは、まんが道、愛…しりそめし頃に…等、一読をすると楽しいかもしれません。

後日談ですが、リーダーの寺田ヒロオ(暗闇五段・スポーツマン金太郎・背番号0→スポーツ漫画の先駆者)は後に、筆を折り断筆し茅ケ崎に住み、引きこもる。1990年に突然トキワ荘の仲間を自宅に呼び宴会を開催し、盛り上がり楽しく会は進みそして終わる。見送り時、皆にずっと手を振り続け笑顔で見送ったという。その後はピッタリといっさいの交流をやめ、ひっそりと茅ケ崎に住み、最後は離れに住み、母屋に住む家族とも顔を合わせず暮らし、1992年に亡くなったそうです。栄光の日々の青春時代、20代のほかの漫画家とほぼ変わらない年齢なのに兄貴と憧れ頼られる存在、その皆が時代に合わせキラキラしたヒット作を製作し自分を通り過ぎ、大先生となっていく。会えば寺さん、寺さんと皆は慕ってくれる。その葛藤、子供、児童漫画ではない漫画家への憎しみ。何があったのかは本人にしかわかりません。俳優の(壇蜜)の旦那さん、漫画家、(静野とおる)の叔父と寺田ヒロオは引退後も交流があったそうです。

最後に、豊島区に新しくできた、トキワ荘漫画ミュージアムがあるので、それぞれの漫画家のエピソードを考えながら行かれると、感慨深く楽しめるかもしれません。